2012年11月21日水曜日

おひさま発電所ツアーレポートその2

前回から時間がかなり開いてしまってすみません。

10月27、28日のえねぱそ「おひさま発電所ツアー」
レポート後半お届けいたします。


1日目の施設見学を終えた後、私たちツアー参加者一行は
おひさま進歩エネルギー株式会社の代表取締役、原亮弘さんの
お話を伺いました。

市の施設の名前が「りんご庁舎」♪
この中でお話を伺います。ほのぼのかわいい名称
ですが、会議室等があるまじめな施設です!


















おひさま進歩の歩みを伺う参加者たち。
















原さん。私が言うのもおこがましいですが
本当に地に足のついた方、懐深い温かな印象で
地域への熱い想いが伝わってきました。


















お話を伺って、一番印象的だったのは
おひさま進歩と飯田市の行政との深い絆でした。

飯田市は人口約10万人と、非常に小さな街です。
(ちなみに横浜市は人口360万人を超える巨大都市。)
市内に大学がなく、若者が外へ出て行ってしまう問題や
空港も新幹線もないなど、アクセスの悪さもあって
「便利さ」では恵まれていない。
けれども、その分、厳しくも豊かな自然に恵まれ、
市民の自治、自助の精神が育まれてきたといいます。

飯田市では、早い段階から「環境」に目を向けていて、
1996年には「環境文化都市」を方針として掲げます。
以来、自分たちの地域、風土を守っていく政策を貫いてきました。
いわば、自然エネルギーが普及しやすいような土台があったわけです。

天竜川。本当に竜のごとき流れ。
美しい渓谷です。


















山また山、、、、
南アルプス、中央アルプスに囲まれて。


















2001年に、おひさま進歩の前身である、
「NPO法人南信州おひさま進歩」が発足したのも、
地域の公民館等での勉強会がきっかけだったそうです。
まず最初は、廃食油の処理の問題に取り組みがあり、
つぎに太陽光発電所設置についての検討がなされます。

幼稚園などの公共施設の屋根に太陽光パネルを設置するには、
施設の持ち主である飯田市に、その場所を借りる許可を
得なければなりません。

この許可を得るのが実はものすごく高いハードルだったとか。

「前例がない」ことを認めるのには時間がかかるのですね。
子ども達を預かる、保育するのが目的である施設を、
一法人、一企業が発電をするために貸すとはいかがなものか?!
ということで、かなり議論があった末、市長さんの英断により、
おひさま進歩に20年間無償で屋根を貸すことが認められました。
おひさま進歩の取り組みは、エネルギーの地産地消に繋がり、
地域の環境産業の育成や、子ども達への環境教育になり、
これまでの市の方針とも一致するのが大きかったのだと思います。

さらに、この決断を後押ししたとも言えるのが、2004年の
環境省による「環境と経済の好循環のまちモデル事業」の募集です。
飯田市の「まほろば事業」が、このモデル事業として
採択されたため、国から補助金を得られることになったんですね。
補助金というと、なんだか悪いイメージもありますが、
飯田市の場合はこれを非常にいい方向に使うことが出来ました。

これを機に、NPO法人から、本格的に事業主体を担う
「おひさま進歩エネルギー有限会社」が設立(のち株式会社に)。
そして、補助金と市民の出資により、2005年の3月には
計画された38カ所の公共施設全てに太陽光パネルの設置が完了します。
(正確にいうと、最初の明星保育園はNPO時代の設置なので、
会社化されてからは37カ所)。
その後は、資金運用のための事業が展開されていくのですが
ここに、えねぱそも関わってくるんですよ〜。


こうして、官民共同のビジネスモデルが、周りの人の目に
見えるようになってくると、次第に、地元の銀行や信用組合からも
融資が決まったり、第2、第3のファンドが立ち上がり、、、と、
もちろん、その度に苦労があったわけですが、事業が順々に展開していって
現在では、120カ所以上の施設に太陽光発電所が設置され、
ファンド部門も独立した会社となりました。
2009年からは、個人住宅向けの「おひさま0円システム」も始まっています。


その後も、色々なモデル事業の採択を受け、官民が
協力しあってまちづくりをすすめてきた飯田市は
2008年、「環境モデル都市」にも指定されました。

環境モデル都市というのは、温暖化対策、低炭素化社会を
目指す取り組みをしている都市を、国が支援するというもので、
2012年現在、全国で13カ所の自治体が国から選定されています。
(実は横浜市も環境モデル都市なのでした!詳細気になる方は
こちらへ http://ecomodelproject.go.jp/ecomodel/ )

補助金の力、というのも確かにあったわけですが
本当に重要なのは、多様な主体が恊働しやすいように
制度やしくみを改革することなのだと、原さんはおっしゃっていました。
何事もそうかもしれませんが、最初の一歩。
他の自治体が応用できるようなモデルをつくったこと、が、
すごく重要なことなんだなと思いました。




一旦解散したのち、夕食兼交流会の一コマ。
地元食材をつかった料理に舌鼓。地酒も美味でした。
飯田で、自然エネルギーのお祭りみたいなものを企画
したらどうか?という提案があり、盛り上がっており
ます!原さんのお隣は、飯田市役所の小林敏昭氏。
さんぽちゃんをデザインされた方です。






















ツアー参加者の集合写真。2日目に見学した
「ゆいの里」の屋上にて。後ろに天を目指す松の木が!


















あざみ野ぶんぶんプロジェクトは、主婦が中心のボランティア活動。
まだまだ小さいものですが、この活動をしていなかったら、
ツアーに参加して、お話を聴くこともなかったわけで、
今回の旅は、私個人としては、大きな一歩でした。


前半、後半と2回に分けての拙いレポートではありましたが、
飯田市や、おひさま発電所、えねぱそ、およびぶんぶんの活動に
興味をもってくれる方が一人でも増えたらいいなと思います。

飯田のおひさま発電所へのツアーは、今後も開催されるはずなので
もし、機会があれば、参加してみてくださいね。
レポートでは触れられなかったのですが、
今回宿泊した「三宜亭」さんも、社長さんが非常にパワフルな方で
温泉熱と木質ボイラーを利用して、エネルギーをほぼ自給自足
できている先進的なお宿でした。
飯田市唯一の温泉で、銭湯の様にお風呂だけ利用することもできるので
市民からも愛されている様子がうかがえました。
温泉好きな方は、こちらにもぜひ。とってもいいお湯でした!


(文責:梅原あき子)




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